報告 教会音楽講習会 (2008年)
 
  6月7日(土)1時30分より、大宮教会を会場に行われました。
テーマは2年目を迎えた「詩編を歌う」です。これは昨年度の受講生から「もっと学びたい」との声が上がり、これに応えたものです。

 今回は「西洋音楽史から見たジュネーヴ詩編歌」との副題を設けて、ご専門の武蔵野音楽大学教授の寺本まり子先生をお招きしました。いつも讃美歌の視点から見ていた詩編歌ですが、逆に西洋音楽史という広い視野の中から宗教改革や、ヨーロッパ世界でのバロック以前の音楽の流れからお話を聴くことができました。以下、非常に雑駁ですが今回のお話のかいつまんだ内容です。

 宗教改革者カルヴァン(1509−1564)はルターと同じように、誰もが母国語で聖書を読み、賛美を会衆が高らかに歌うことを願いましたが、ルターと違う点は、音楽の美しさや魅力に信仰がまどわされないように厳しく注意を払ったことでした。ルタ−は、歌詞に関して創作詩も用い、民謡などのメロディ−も用いましたが、カルヴァンは聖書の言葉(詩編や新約の歌)に限定しました。

 特に詩編は旧約聖書の時代から「歌う」ことを前提にした信仰の詩ですので、これをそのまま歌うことができることは歴史を超えて大きな意味を持っています。カルヴァンはマロ、ベーゼといった専門家に韻律を踏んだフランス語訳を依頼しました。音楽に関しても単旋律で飾りがなく、ひとつのことばにひとつの音という原則を大切に作曲がなされていきました。

 カルバン派は当時弾圧されていたのですが、ついに1562年にはジュネーヴで150編全部の整った詩編歌集が発行されました。教会においてはこれを会衆がシンプルに歌いましたが、それ以外の場では詩編歌に基づいた音楽的な工夫が盛んになされました。そこからドイツ、フランス、オランダ、イギリスと詩篇の歌はそれぞれの国の事情と絡み合いつつ、さまざまなかたちの詩編歌が翻訳・作曲され、広がっていったのです。

 寺本先生はこれらのことを当時の楽譜や肖像画、貴重な録音(CD)などを駆使してていねいにお話くださいました。
 参加者は14教会から34名でした。

 次回は9月20日(土)午後です。埼玉新生教会にて、飯 靖子(いいせいこ)先生をお迎えし、「詩編歌の奏楽曲ーパートU」として「讃美歌21による礼拝用オルガン曲集第3巻」より実習を交えてお話を伺います。詳細は追ってお知らせいたします。

報告:長尾愛子(教会音楽委員会委員長、小川教会)




開会礼拝 深見祥弘牧師(東所沢教会)




常連の参加者のほか、他教区からも。合計34名




CDも聴きながら。 寺本先生のご講演




食い入るように講演を聴く参加者


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