報告 第17回障協懇(アーモンドの会)
 
 9月23日(金・祝) 午前10時より 埼玉和光教会を会場にアーモンドの会が開催されました。本年は 「つながって生きる」―東日本大震災から学んだこと―を主題として開催されました。東日本大震災の今年、この未曾有の災害のなかで現実に、障がいをお持ちの方がどのような苦難を経験されたのか、この機会に、実際の体験を通してのお話を伺うことができました。
 開会礼拝は土橋地区委員長の「神の業の不思議さ」と題する説教で、障がいをお持ちの方々に寄せる思いをお聞きし、また聖書の御言葉から恵みを頂きました。土橋委員長は震災発生直後から地区の支援活動の働きを率先、指揮行動されたこともあり合わせてひとしおの思いであったものと思います。 

 開会礼拝に続き、講師としてお招きした小田嶋義幸さん(日本基督教団北上教会員、北上市障害者団体連絡協議会会長、みちのくコスモスの会代表)から「闇をも受け入れて」という演題のもとお話を伺いました。

 小田嶋さんは若くして関節リウマチのために体の自由を奪われ、寝たきりとなりました。しかし、そのような中で、信仰を持つ友や牧師の勧めがあり、10年の格闘の末、受洗。その後手術やリハビリで、立ち上がることのできた喜びは大きなものだったそうです。2年ほどして東京の国立身障センターに入所。センター本来の職業訓練はままなりませんでしたが、かけがえのない信仰の友と教会につながる喜びを確かなものとして得られました。
 郷里に戻られた小田嶋さんは懸命の工夫と持ち前の積極性により、自宅で高齢のお母さんと二人の生活を続けられました。北上教会もまた小田嶋さんの信仰生活を支え、送迎を奉仕活動のひとつとして位置付け、休むことなく今日に至っています。小田嶋さんはその中で、30年にわたり自宅を塾として子どもたちに勉強を教え、のべ1000人に及ぶ生徒を指導しました。その生徒たちが小田嶋さんの生きざまから、全人格的に学ぶところは勉強にもまして、大きなものであったことは想像にかたくありません。また、雪かきやストーブに灯油を入れることなどは生徒たちが喜んでしてくれたことを嬉しそうに話してくださいました。
 お母さんが97歳で召された後、小田嶋さんは市街地に移り、バリアフリーの家を建て、電動車椅子での生活がはじまりました。現在の小田嶋さんはご自身が障がい者の相談を受け、ピアカウンセリングに導いたり、さまざまな障がいを持った方々のために自立生活支援センターやB型作業所を立ち上げるなど、誰もが生き生きと生きるためのネットワークづくりに奔走しておられます。

 お話の中心は予期せぬ震災の被災状況とその後の復旧の想像を絶する報告でした。一般の方々でも被災者の実態の全容は判明されていない中で、障がい者に関する状況は行政でも調査出来かねているというのが現実とのことでした。
 十数年前にモデル住宅として岩手県知事賞を受けた小田嶋さんご自慢のバリアフリーの自宅も大被害を受けました。修理できない状態ではないが、耐震性のために基礎を打ち直すのに新築と同じ規模の工事が必要で、復旧は至難だとのことです。しばらくは職場である障害者支援センターで寝起きしておられましたが、現在も介助者の自宅で生活していらっしゃいます。

 小田嶋さんご自身が未曾有の大震災を経験し、さまざまな対応にも疲れ切ってしまったころ、「闇をも受け入れる」ということばを新聞記事に見出しました。そのとき十字架に上がったイエスキリストのお気持を思い浮かべたそうです。小田嶋さんは講演の中で「弱さの中でこそキリストの力は発揮される。私もいいことだけでなく、闇をも受け入れることにした」とおっしゃいました。「家は壊れたけれど命は助かった。十分ではないが住める場所があり、食べさせてくれる介助者がいる。それ以上を臨む自分を恥ずかしく思いました。俺はこれでいいんだ!そこから恵みを感謝して生きたいと希望につながった。主の家に備えあり」と語られました。その明るいお姿に一同大いに励まされ、震災被害の壮絶さを改めて知らされたこと以上に素晴らしい恵みを頂きました。
 
 午後には、証を埼玉和光教会の千木良あき子さんからお聞きしました。千木良さんは自閉症のご子息との38年の歩みを振り返って、話されました。ご子息に導かれて教会に通うことになり、そのお子さんと共に受洗されたこと。ご主人の重篤な病から自営会社を閉鎖されたことなど、苦難の人生を余儀なくされたことも語られました。しかしなお現在、神様につながり、恵みを頂いていることを確信していますとの内容で参加者の大きな共感を呼びました。
また、教会全体がすべてを受け入れ、ごく自然に活動されている様子に教えを頂きました。

 その後、分団の話し合いで参加者それぞれに交流も深めることができました。改めて「共に生きる」ということを多く教えられた思いがしています。「心のバリアフリー」をこれからも目指し、教会のなかでさらなる活動と共生が進み、恵みが分かち合える輪が広がるように活動をしていきたいと思います。 

 26教会 91名の集いでした。  

報告:矢崎 武雄(埼大通り教会・アーモンドの会委員)




会場の様子




講師の小田嶋義幸さん




左は長尾アーモンドの会委員長(小川教会牧師)、右は介助者の宮本由美子さん。




証の千木良あき子さん。三浦牧師の紹介のシーン。




会場の様子


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