報告 平和を求める8・15集会 
 
講演 「平和を作り出す人たち」
講師 近藤紘子氏


 去る8月15日(木)午前10時より「平和を求める8・15集会」が埼玉和光教会で行われました。最初に関東教区「日本基督教団罪責告白」を全員で連祷した後、三浦修牧師の司式により礼拝が捧げられました。

 引き続き、被爆体験を持つキリスト者、近藤紘子氏による講演から学びました。近藤氏は、広島流川教会の牧師であった谷本清氏の長女として生まれ、生後8カ月の時に広島で被爆しました。『ヒロシマ、60年の記憶』(徳間文庫)の著者であり、国内外で講演を続け、核兵器廃絶を訴えています。また、一方で「国際養子縁組」の活動も行っています。現在は三木志染教会の牧師夫人でもあります。

 今回の講演では、「平和を作り出す人たち」と題して、自らの生涯を振り返り、平和活動への思いを語って頂きました。
 沖縄で牧会していた父・谷本牧師は、沖縄戦の激しさが増したために、広島流川教会に移った直後に被爆。近藤氏は、母親の胸の下でかろうじて直撃を免れたとのことです。
 原爆投下後、谷本牧師は教会員の行方を案じて日々捜索を続けました。近藤氏は、実の娘より教会員を大切に思う父の姿に反発を覚えたといいます。しかし、谷本牧師の引退説教を聞いて、広島のため、被爆者のために一生懸命働く父親の思いを知ることができたと振り返りました。

 幼い頃から被爆者の苦しみや悲しみを見聞きして育った近藤氏は、「エノラ・ゲイ号の乗組員さえ爆弾を落とさなかったら、あんな悲惨なことにはならなかったのに」と思い、「いつの日か大人になった時には、その乗組員たちを見つけ出して、広島のかたきを討つ」と思い込んできたとのことです。
 ところが、10才の時にテレビ番組で、エノラ・ゲイの副操縦士ロバート・ルイス氏が、原爆投下後の広島を上空から見て、「おお、神よ、わたしたちは何ということをしてしまったのか」と涙声で語ったのを目にして、「わたしの中にも自分を正当化し、相手がすべて悪いと思う心があることに気づいた」。「戦争とはどちらの側にも痛みが残ることを知った。核兵器を使って多くの人を殺すことは決していけない。被爆国である日本は世界に核廃絶を叫ばなければならないとわたしは強く思う」と語られました。

 同氏は「被爆者としてモルモット扱いされた」ことで、広島から離れるために、留学時代に婚約した米国人と米国で結婚することを考えたとのことですが、相手の家族から反対を受け、婚約破棄となったとのことです。「被爆者であるため、まともな子を生むことは無理」との理由でした。「この時、幼い頃にかわいがってくれたケロイドのお姉さんたちの、被爆者ゆえの結婚・就職差別の悲しみを初めて知ることができた」とのことです。
 やがて東京で就職後に出会った映画監督と結婚し、広島に戻り、反原爆の運動に関わることになりました。現在は犠牲者の数が今年で28万人になった広島原爆の悲惨さを世界に訴え続け、世界の子どもたちとともにロシアで原爆反対を訴える運動を展開しているとのことです。被爆者として今後も世界から原爆をなくし、平和を作る者として、世界中に運動を続けていきたいと抱負を語られました。

 原爆投下から68年、その後遺症の悲惨さ、悲劇は今でも続いていいて、癒されることはありません。原子力発電所の事故が起き、私達は大きな不安の中に置かれています。私達は核兵器の廃絶、原子力発電所の撤廃を求め、平和を作る者として歩まねばならないと決意を新たにした集会でした。出席29教会70人。
報告:本間一秀(川口教会)、井上雅雄(浦和東教会)



三浦修牧師(埼玉和光教会)の司式による礼拝




講師の近藤紘子氏




会衆




講師を囲んでの懇談会


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