報告 秋の教会音楽講習会
 
 来年の宗教改革500年を前に「ルターのコラールに基づくバッハのカンタータ」(コラールはドイツ語の教会歌、カンタータは器楽伴奏を伴う多楽章の歌の意)と題した講習会の2回目を、11月5日(土)に上尾合同教会において開催いたしました。講師は前回に引き続き、音楽学者の礒山雅先生でした。

 今回のテーマは時期に合わせ、讃美歌21の229番《いま来たりませ》。まず参加者全員で歌い、松山與志雄先生(引退牧師)の開会祈祷の後、講習に入りました。

 《いま来たりませ》は古くから様々な編曲で歌われており、はじめにそのメドレーをCDで聴き、それから原曲である4世紀のラテン語讃歌、そしてドイツ語コラール誕生の歴史が紹介されました。12世紀からドイツ語訳の試みが何度もされていて、オリジナルに近いルターの8節からなる詞が定着したそうです。原詞にある「異邦人の救い主」には当時のキリスト者の、異邦人伝道に対する深い思いがあると伺いました。

 バッハの先生にあたるベームのカンタータを聴き、休憩を挟んでいよいよバッハの作品を聴いていきます。
  《いま来たりませ》は待降節第一主日に歌われるコラールで、まずその日の聖句を先生に朗読して頂きました。現存している3作品の紹介をして頂きましたが、なかでも全曲がこのコラールに基づいている第62番はとくに詳しく解説いただきながら、全曲聴くことができました。
 この曲はライプツィヒで1724年初演されたそうです。原詞のままのコラールが初めと終わりにあらわれ、中間はコラールの各節に基づき作詞され様々な形式で表現されています。喜ばしい詞には軽快な曲想、力強い詞には低音を用いるなど、詞の内容が一層深く伝わりました。

 美しい音楽と、興味深いお話で豊かな時を過ごせました。参加者からの質問にも詳しくお答え頂き充実した学びとなり感謝いたします。
 16教会33名の参加がありました。 
報告:吉田みち子(教会音楽委員会委員長、埼玉新生教会員)





講師の礒山雅先生




会場の様子


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