| 2026年2月のみことば |
| そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来て、ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けられた。水の中から上がるとすぐ、天が裂けて“霊”が鳩のように御自分に降って来るのを、御覧になった。すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。 (マルコによる福音書1章9~11節) |
福音書の著者たちがイエス様の生涯を描く上で、バプテスマのヨハネをどう考えるかは悩ましいところがあったようです。とくにヨハネから洗礼を受けられたことに対する戸惑いは事実でしょう。一番最初に書かれたのはマルコ。これをベースにマタイとルカが書かれたというのは聖書学者の一致したところです。キリストの洗礼の記事に関してはマルコは非常に淡々と記しています。マタイ福音書は「わたしこそ、あなたからバプテスマを受けるべきなのに」とヨハネが思いとどまらせようとするやり取りを記しています。またルカはマルコにもともとあった「ヨルダン川で、ヨハネから(洗礼を受けた)」という一言がなぜか削除されています。神の子、救い主イエスがユダヤ教でも非主流派(エッセネ派)のヨハネから洗礼を受けたという事実は、最初期の教会の指導者たちを悩ませることになります。実際にイエスはヨハネのもとで活動をしていたという推測もあります。私もたぶんそうなのだろうなと思いますけど。 また、なぜ罪なき神の子が悔い改めのバプテスマを受けられたのか、という議論も教会に湧き上がってきました。この時、神は「まことの人」つまり罪ある人間と共にある歩みをされようと決意されたのです。ここで父なる神と子なる神が完成します。でもどうでしょうか?イエス様が自ら他の人から手に頭を置かれ、水に沈められた、このことはイエス様の神の子としての権威を貶めることになるのでしょうか。イエス様によって示される権威とは、地上の誰が偉いかという権威とはまったく異なる、神様による権威なのです。ここで父なる神と子なる神はひとつにされたのです。 さて今日は「天が裂けて」という言葉に注目したいと思います。マタイやルカでは「天が開け」と書かれています。開くという言葉は新約聖書でも数多く用いられている、かなり一般的な言葉です。一方「裂ける」はあまり使われることがありません。「天が開かれ」というと梅雨空が晴れ渡るとか、どんよりした冬の曇り空からもうすぐ春がやってくるとか、そんなイメージを持てますが「天が裂けて」というとその反対で、晴れ渡った空にどんよりとした雲が覆い、やがて雷鳴が轟き…といった荒々しく不吉なイメージになります。「あなたは私の愛する子、わたしの心に適う者」という天からの声のイメージからすれば「天が開けた」というイメージがしっくりくるでしょう。なぜマルコはあえて荒々しい言葉を用いたのでしょうか。マルコはこの「裂けた」という言葉をもう1回だけ使っています。それは15:38のこと。イエス様が十字架上で息を引き取られるまさにその時、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに「裂け」ました。神殿の垂れ幕とは、エルサレム神殿の聖なる場所の内と外を隔てる幕のことです。もともと神殿は大祭司だけが入ることのできる至聖所があり、その外側に祭司の庭、男子の庭、女性の庭、異邦人の庭とそれぞれに応じた区域が設定されていました。垂れ幕が裂けたというのは、すべての人が分け隔てられことなく神さまに近づき、神の恵みに与ることができるようになったことを象徴的に示したものです。またイザヤ書63:19には「どうか、天を裂いてくだってください」と書かれています。人の危機的な状況に神様が上から介入されるのです。 世界の大国アメリカが、ベネズエラに攻撃して大統領夫妻を拉致して裁判にかけています。トランプ大統領はカナダを併合するたのグリーンランドを欲しいだの言って、さらにメキシコを攻撃すると宣言しています。アメリカファーストは「他国のことに干渉しない」というのは嘘で、俺の欲しいモノはすべて手に入れるということなのか。このおぞましい罪に主は天を切り裂いて臨まれるでしょう。また私たち一人ひとりの現状に暗い雲があるとして、それが徐々に光が差すこともあるでしょう。しかし突如として状況が闇をきり裂くように変えられるということの方が多いように思います。少なくとも私はそうでした。 イエス・キリストの宣教のはじまりと終わりにこの「裂ける」という言葉が記されているということは、イエス・キリストという方によって神様が私たちの友となってくださったこと、隔てがなくなったこと、そして私たちの人生の最初から終わりに至るまで常に共におられて、私たちの命を守り支えてくださることの証明として記されています。また、キリストはその宣教のはじめに洗礼を受けられました。私たちもまた洗礼から始めるのです。キリストが自ら進んで洗礼の水へと進み、汚いヨルダン川に沈み、宣教の旅に出られた。古い自分と別れ、キリストと共に新たに生かされて歩み出しましょう。 |
| 越生教会 金子敏明牧師 (かねこ としあき) |
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